庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「アベンジャーズ」
ここがポイント
 心情・ヒューマンドラマの方に目配りした意外に手堅い構成と言えるが、スリルとアクションの魅力は今ひとつ
 邦画でもテレビドラマの映画化作品に人が集まるのと同様、知名度さえあれば客は来るということか

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 「日本よ、これが映画だ。」というありがたいご託宣のついたマーベルオールスター戦映画「アベンジャーズ」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、新宿ミラノ3(216席)午前11時50分の上映は5割くらいの入り。

 国際平和維持組織「シールド」では神の国アスガルドからもたらされた四次元キューブの調査を進めていたが、誤って遠く離れた宇宙との間のワームホールを開いてしまう。そこからアスガルドの邪神ロキ(トム・ヒドルストン)が現れ、研究を担当していたセルヴィク博士(ステラン・スカルスガルド)やシールドのエージェント「ホーク・アイ」ことクリント・バートン(ジェレミー・レナー)を魔法の力で操り、四次元キューブを強奪して、地球侵略のための新たなホールを開こうとする。危機を悟ったシールドの長官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)は氷の中から発掘されて70年の眠りから覚めたキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)を自ら説得し、部下のブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)をカルカッタに派遣して人知れず貧しい人々のための医療に従事していたブルース・バナー=超人ハルク(マーク・ラファロ)を誘い出し、部下のフィル・コールソン(クラーク・グレッグ)にトニー・スターク=アイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)を説得させ、ヒーローたちを結集する。彼らの手でロキが捕らえられ、そこにロキをアスガルドに連行しようとするマイティ・ソー(クリス・ヘムズワース)も現れたが、ヒーローたちは心を一つにすることができず、ロキを奪還するために現れたバートンらの攻撃にハルクが変身して暴れ回り仲間割れし、ロキの奪還を許してしまう。傷心のヒーローたちが見たものは・・・というお話。

 子どもならともかく大人が別々の物語のヒーローの共演、日本で言えばウルトラマンと仮面ライダーとガンダムの共演など喜ぶだろうかという批判を織り込んで、映画のかなりの部分がヒーローたちの召集、それぞれの事情と気持ちの説明に充てられています。戦闘シーンは最後に集中して、思ったよりは短く仕上げています。戦闘シーンが1時間もあったらどうみても怪獣映画になりますからね。その意味で、心情・ヒューマンドラマの方に目配りした意外に手堅い構成と言えますが、他方、ハリウッド大作としての大上段のと言うかスリルとアクションの魅力はそれ程でも・・・という印象で、「これが映画だ」って言われてもなぁ。

 改めて振り返るとマーベルがこの映画を作るためにそれぞれの映画の中に他の映画の登場人物を送り込んで周到に準備してきたことがわかります。それだけに「ハルク」のエドワード・ノートンに出演を断られたのは痛恨/痛快。
 もっとも、マーベルのヒーローが総出演しているわけでもなく、今やマーベルの稼ぎ頭とも言えるスパイダーマンは登場しませんし、X−MEN(ウルヴァリン)も登場しません。エドワード・ノートンに振られたらむしろハルクを諦めてウルヴァリンに差し替えるという選択もあったんでは?
 前半で抑制が効かずに暴れ回ったハルクが後半では一直線に敵にのみ向かっていきます。これだけ抑制できたら、これは既にハルクじゃないんじゃないかと思います。
 いろいろな意味でハルクが躓きの石になっているような気がしました。

 金にものを言わせて作った「銀河系代表」と呼ばれたサッカーチームや「4番ばかり集めた」と言われた野球チームが勝てるとは限らないのと同様、せいぜい2時間半の時間枠しかとれないメジャー映画でたくさんのヒーローを集めることが得策かという論点は、それでも世界でも全米でも歴代3位の興行成績を収めてしまっていることからクリアされているようです。日本でも邦画歴代興行成績上位がジブリの(あるいは宮崎駿の)アニメ以外は軒並みテレビドラマの映画化作品というのと同様、知名度があれば客は来るということですが。

 エンドロール直前のカットは続編を作るとも作らないとも言える微妙な言い回し。
 エンドロール後のカットは、たぶん日本版のために用意されたもの(背景からして・・・)ですが、何のために入れたのかまったく不明。ユーモアのセンスがきっと全然違うんだろうなって感じてしまいました。

(2012.9.2記)

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